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意外な反応
 あれから、九条君の姿を何度か探してしまった。綸同君とデートして、改めて気づいたことがあった。最初のデートでは緊張とうれしさがあって、服装や髪形を変えたり、時間がなかったこともあって、実際に会って話をしていても、会話が途切れた時に不安を感じたりして、それどころじゃなかった。でも、二度目のデートは……。
「あーあ、私もデートしたい」何度目かのその言葉をサリに八つ当たり気味にぶつけられた。
「取り残された。とうとう、私だけだ」
「大げさだなあ。由香ちゃんとエミリと美優ちゃんだけだよ。裏切ったのは」と言われて、あわてて、
「裏切ったなんて」と止めた。
「男とデートしたのは抜け駆けだって。私に紹介してからにして」とサリが余裕のなさそうな態度で言っていたので、止めても無駄かもしれないと聞き流すことにした。そばで、
「出会いたい。とにかく、好みの男に出会いたいよ。うちの学校の男じゃ物足りないよ」と小声で言い出して、
「言い過ぎ」とそばの子たちに止められていた。
「海里ちゃん、誰かいない?」と聞いていて、
「うーん、かわいい子がいたら紹介を頼まれていた人はいるけれど」
「だれ、かっこいい?」「顔は?」「どこの学校?」とそばの子が聞いていて、
「いや、悪いやつじゃないよ」と言ったために、
「あ、だめだ」とすぐにあきらめていた。
「なんで、そうなるのよ」と海里ちゃんが笑った。
「男性にしろ、女性にしろ、『いい子だよ』、もしくは、『悪いやつじゃないよ』という場合は、そこまでお勧めじゃない場合が多いでしょ」
「少なくとも顔が良かったら、そこは最初に言うでしょ」とそばの子たちが不満そうだった。
「美優ちゃんみたいに、顔で選ぶと大変じゃないの。結局、あの男に買ってあげたんでしょ。例の時計」と言ったので、驚いて、サリちゃんの方を見たら、
「なに?」と聞かれて、
「時計って?」と聞いたら、高価なブランド物の時計を無理して買って渡したらしい。相手が欲しがっていたのを聞いて、バイト代をつぎ込んで渡したという。
「それって、絶対に見返りはないよ」と海里ちゃんが呆れていた。
「えー、そうかな。高価なものをあげたら、本気だと分かってもらえるかもよ」と言ったけれど、海里ちゃんが呆れたように、
「あのね、花咲くんや段君がそういうものを受け取ると思う? 女の子から」と言ったため、だれも何も言えなくなっていた。そうかもしれないな。女の子から高価なものを受け取るなんて、彼らにはできないだろう。
「えー、でも、友達が、彼氏でもない人にプレゼントをもらって、デートはしなかったみたいだよ。ただ、グループでデートしてごまかしていたみたいだし」
「それって、悪いよ。相手の男性、がっかりしただろうね。友達と一緒なんて、嫌がってますって言ってるようなものだしね」
「それが相手は嬉しそうに、『また、行きましょう』と誘ったらしいよ。遠まわしに二人きりになりたくないっていう意味が分からなかったんだって」遠回しか。そうとも取れるし、ただ、
「恥ずかしかったから、いきなり二人だと困るからと解釈してそうだよ、相手の男性は。鈍いとは言い切れないでしょ、その場合」と言い合っていた。
「でも、その子、次からは誘われても、『忙しい』と言ってごまかしてた。いくら断っても分からないらしいよ」
「それでしつこくされたら、怖くないかな? そのうち、家まで来るよ」と言い出して、
「えー、それはちょっと困るでしょ」と言い合っていた。
「美優、相手の家にまで行きたがってたけれど、住んでいる場所を教えてもらってないみたいだからね」とサリちゃんが言い出して、
「友達に聞けばいいじゃない」
「え、そこまでしたら、しつこい女として嫌がられるでしょ」と言い合っていて、
「止めてあげた方がいいと思うけどな。時計を受け取って、でも、相手は本気じゃないかもしれないよ。そういう相手だと気づいてないのなら」と海里ちゃんが言ったけれど、
「ああ、ダメだよ。美優にはちゃんと言ってあるけど、聞いてないもの。相手が悪いはずはないって思い込んでる。それに、ライバルがいるんだって。彼女になりたがっているもう一人の女がしつこいから困っていたらしくて、それで、『相手を蹴散らしてあげないとあの人が困るから』なんて言ってたから、無理じゃないかな」とサリが説明をしたために、
「あ、無理だ、それだと」
「そうだね」とみんなが言い合ったので、
「なんで?」と聞いたら、
「ライバルがいるなら、よけいに燃えるってば。その相手にだけは絶対に負けたくないから、必死なんじゃないの。だから、高価な時計を渡して、ライバルに差をつけたかった」
「そうだと思うよ」と言い合っていたので、お姉ちゃんが言っていたことを思い出した。

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