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 美優ちゃんに、サリが注意したけれど、やはり聞いてなくて、
「ごめん、メールしないと」と言って、席を離れた。いつも、ああやって、何度もメールをしている。みんなが困った顔をした後、
「俺さ、バイト先で女の子に、誘われた」と上久保君が報告していた。
「いいよな、ずるいよ」
「かわいいのか?」と聞いていて、美優ちゃんのことは誰も見てなくて、心配で彼女を見ていたけれど、彼女はメールに夢中になっているようだった。

 バイトに行こうとしたら、九条君がいて、甲羅も一緒にいたので話しかけられないなと思っていたら、彼がこちらを見て、寄ってきた。
「これから、バイトか?」と聞かれてうなずいた。
「お前に渡せって」と言われてDVDケースを渡された。
「なに、これ?」
「例のやつ。発表前に見て、石渡に感想メールを送れってさ」
「そう」
「見終わったら草刈に渡して、その後、返しておいてくれ」
「分かった、そうするね」と言った後、さっさと戻ろうとしたので、
「あの」と声を掛けた。彼は振り向いてくれたけれど、なんだかそっけなくて、
「ごめんね」とだけ言ったら、何か言いたそうな顔をしていたけれど、
「九条ちゃん、合コン行こう」と甲羅が呼んだので、
「俺は行かない」と返事をしていた。
「やだなあ、いくら大橋ちゃんの前だからって、隠さなくても大丈夫でしょ。そっちもデート?」と聞かれてうつむいた。
「どうかしたのか、お前」と九条君に聞かれたけれど、
「なんでもない。合コンがんばってね」と言ってそこを立ち去った。
「あーあ、落ち込んじゃってるよ。振られたな、あれは」甲羅が九条君に話しかけたら、
「振られた?」と九条君が驚いていた。
「そう見えるけど、九条ちゃんのことがいまだに好きなんじゃないの? 下手な小細工使っちゃって、これだから素人ちゃんは」
「小細工? あいつが?」
「やきもち焼かせたくて、わざと違う人とデートをして、失敗したってこと。九条ちゃんはかわいい子の方が好きだからね」と九条君の肩に手を置こうとして払いのけられていて、
「つれないなあ。別にいいじゃん。大橋ちゃん、もうちょっとかわいかったら、僕も候補に入れてあげてもいいんだけどな、残念」
「その前にお前がはねられると思うけど」九条君がつぶやいたら、
「え、何か言った?」と甲羅が聞こえなかったのか聞き返して、
「いや、お前は懲りない奴だなと思っただけ。他を当たれ。俺、用事があるからさ」
「良いじゃん、合コンに行こうよ」
「嫌だ」
「付き合いが悪くなったな。さては内緒で彼女でもできた」
「俺はお前と違う。そういうのを気軽に行くタイプじゃないだけだ」
「えー、でも、絶対に付き合いが悪くなった。彼女が内緒でいるだろ。言えよ。内緒にしてやるから」
「学部内で3人目の彼女ができたやつには言わない」
「え、何で、知ってんの? というかさ、まだ、そこまでじゃないって」と笑ってごまかしていた。

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