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 千花ちゃんは、挑むような態度になった。私がいるとぶつかってでも、花咲君のそばに行きたがった。そんな態度をみんなは、困ったという表情で見ていた。
「あいつ、どうにかしてくれ」と小声で言っているのも聞こえてきてしまった。
「花咲、どうするんだ?」と仲島君が聞いてきたけれど、彼は返事をしてなかった。
「ああいうのって、見苦しいんだよな。小学生の時に何度か巻き込まれそうになって、逃げたのを覚えているよ」
「同じく。女の子って、怖いよなあ。どっちでもいいじゃん。みんなと仲良く話したらいいだけだろ。一人占めしたいなんていうのはさ、わがままだろ」
「困ったよな」と言われてしまい、花咲君を見た。
「いっそのこと、大橋とくっつけば」なんて言い出したけれど、窓の外をぼんやり見た。どうしようかなと考えていたら、
「おい、聞いてるか。大橋?」と呼ばれて、
「ああ、ごめん」と謝った。千花ちゃんより気になっていることがあった。

 お昼を食べるときに、座ろうとしたら、
「あなたはあっちに座ったら」と命令口調で千花ちゃんが言ってきて、よく見たら、花咲君が隣だった。それで私が移動しようとしたら、
「大橋を移動させる必要がどこにあるんだよ」と段君が怒り出した。
「あら、いいじゃない。どこでも」と千花ちゃんは大したことでもなさそうに言って、だれも何も言えなくなったけれど、私はその雰囲気が嫌だったので移動してしまった。千花ちゃんが嬉しそうに座ってカバンを下していた時に、花咲君が立ち上がり、私の隣に座ってきた。そうしたら、千花ちゃんが途端に気に入らなさそうな顔になった。
「どうして、移動するのよ。逃げるわけ?」と聞かれて、花咲君が聞こえないかのように無反応で、
「おい」とさすがに上久保君がみんなの手が止まっているのを見て、花咲君を見た。みんなは雰囲気が悪くなったために、嫌そうだった。
「ああ、ごめん。そこ、たばこがいっぱいになっていたから、移動しただけだよ」と花咲君が笑いながら言って、
「ああ、なるほどな」と言って、みんなも席に座り食べ始めた。花咲君はたばこを吸わない。たばこの煙もあまり好きじゃないらしい。食堂は一応禁煙ではあるけれど、守っていない学生も何人かいる。それでも吸いたい人は、どこかから器を持ってきて吸っていた。
 千花ちゃんは移動したくて席を立ちあがろうとして、花咲君は端に座っていたために、隣が空いていなかったために、悔しそうな顔をした後、仕方なく食べ始めて、みんなは誰も彼女の方を見ないようにしていた。

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