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 映画を見終わってから、
「良かったよな」と言ったのでほっとした。
「ごめん」
「謝らなくてもいい。もう」と言われて驚いた。
「俺もお前を誤解してたし、お前も俺のことを分かってなかったみたいだしな」
「どういうこと?」
「行こうぜ。明日、約束があるだろう」
「エミリと待ち合わせて、一度鹿飲に行ってから、沢登に移動するけど、
「じゃあ、帰ろうぜ。遅くなるといけないし。お前、眠そうだったからな」
「ちょっと、寝不足なだけ。でも、良かった」
「なにが?」立ち上がりながら彼が聞いていたので、私も立ち上がった。
「今度は最後までちゃんと見れたから」
「前って、何かあったのか?」
「彼と一緒に行ったから。試写会に」
「ふーん、なるほどな。……え、最後まで見れなかったのか? そんな退屈な映画を誘ったのか、あいつ」
「違う。内容は確かに女の子と二人で見るものじゃなかったんだけれど、そうじゃなくてね」と言いながら歩き出したので、それに合わせながら話した。
「途中で、こっちの試写会の方が気になっちゃって」
「なんで? あいつとまた行けばいいじゃないか」
「無理だよ。あなたにもらった物で楽しめるわけがないじゃない。誰と行ったとしてもね」
「草刈と一緒なら楽しめるだろ」
「一緒に来たかった人のことを思い出しちゃうから無理だよ」
「フーン、そういうのを気にするぐらいなら、あいつとデートするな」
「ごめん。でも、ちゃんと話もしたかったのもあったし、他の人のデートってどういうものなのかなと思ったから。あなたとは違うかもしれないと思ったし。ちょっと不安だったの」
「あいつは怒りそうだな。そういう理由で行くなんて」
「え、そうでもないと思う。ほら、高校の時の誤解でね。原因になった女の子から、変なことを言われていたらしいの。彼女が、『そんなに迷惑なら、言っておいてあげるよとか』そういうことを彼に言っていたらしくて」
「つくづく嫌な女だな。妨害してるとしか思えないな」
「うーん、よく分からない。どっちなのかは。ただ、彼はその言葉を聞いて、何を言っているか分からなかったし、確かめづらかったみたいだから、それで私に悪いと思ったみたいなの。それから森園君も。だから、そのお詫びにデートしようと誘ってくれただけ」
「お詫びね。森園ってテニス部の部長だろ? なんで、その男もそう思うんだよ」
「先輩のことがあったから」
「先輩ね。それとどうつながるんだ?」と聞かれて、
「ちょっと嫌な話になるけれど、いいかな?」と確かめたら、
「言えよ。もう、全部言っておけ。聞いておいた方がよさそうだ」と言われてしまった。

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