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みんなの反応
 エミリからメールで、「説明しろー!!」と書いてあった。出先で話す内容じゃないので、家に帰ってから、電話をした。
「九条君が『デート』と言ったために、うるさかったよ」
「ごめん。美優ちゃんに悪いことをしちゃったね。あとで謝っておく」
「違う。美優ちゃんはあの後、海里ちゃんが送って行った。そうじゃなくて、サリとかほかの人がうるさかった。いつの間にそういうことになっていたのか私に聞かれても知らないし」
「ごめん、言ってなかったね。実はデートはしてたの」
「え、だって、あれって映画のために」
「その後も」と言ったら、
「なんで教えてくれないのよ」と怒られてしまった。
「ごめん。言いづらかった」
「どうして? ま、確かに九条が相手では言いづらいのは分かるけどさ。教えてくれても」
「彼、分かりづらいからね」
「なにが?」
「合コンした後、流れでデートする男だと知ってるから。ただ、デートしただけなのか、その後、ちゃんと付き合うつもりがあるのか確かめてからにしたかったの」
「それはちょっと困るね。ごめん、それだと言いづらいわ。確かに」
「私はあきらめてたから。彼はそっけない態度で、デートしてても、なんだか、こう、盛り上がらなくて」
「綸同君よりも?」
「うーん、盛り上がらないっていう意味が違う。友達の会話としてはちゃんと成り立ってるから。でも、男女の会話としては」
「それだと言いづらいか。なんだ、てっきり、九条に相手にされなくても、それでも好きなのかと思って注意しちゃったじゃない。なんだ」
「ごめん、言いづらくて」
「いいよ、そのことは。事情を聞いたら、納得。それよりさ、サリがうるさかった。『デートって何?』私に何度も聞かれて、電話をして確かめるっていうのを何度も止めて」
「あのね。どうして、美優ちゃんとの喧嘩の心配より、そっちを優先するのよ」
「サリはそういうタイプじゃないの。友達に彼氏ができるのが心配なんだって」
「どうして?」
「先を越されるのが嫌だからじゃないの。焦りだと思うよ」なるほどね。
「美優ちゃん、大丈夫かな?」
「うーん、海里ちゃんに任せているからね。さっき、メールがあって、なんだか、かなり興奮して電話を何度もしつこくかけてたみたい。相手の学校に押し掛けると言ってたようだけれど、会えないと困るからって止めたらしいよ」
「あの勢いで行ったら、修羅場だよね」
「そうだろうね。それより、デートはどうだった?」
「うん、まあ、それなりに楽しめた」
「あいつが誘ったの?」
「違う。ちょっと喧嘩して、それで、綸同君と行けって、彼から試写会のチケットをもらったけれど」
「それはかなり怒ってるね。でも、どうして、あいつと?」
「私が行きたかったから、誘った」
「じゃあ、綸同君はもういいんだ?」
「それも説明したの。付き合いたかったわけじゃなかったことも」
「あいつはなんて?」
「納得してくれた。なんだか、お互いに誤解があったみたい」
「そうか、ならいいんじゃないの。問題は美優ちゃんだよね。相手の家に行ってないといいけど」
「家は知らないでしょ」
「学校に押し掛けていたら?」
「怖いことを言わないでよ」
「でも、あの権幕だとありえるよ」
「困ったね」
「もうそうなったら、相手に嫌われるだけなんだけどねえ」
「美優ちゃん、そこまで好きなのかな?」
「そうかもね。九条とのこと根掘り葉掘り聞かれると思うから覚悟した方がいいよ」
「もうあきらめた。そういうのは適当に流す」
「無理じゃない。サリはしつこいよ。『やっかんでない』って、だれも聞いてないのに、ずっと言ってたから」
「なにを?」
「だから、恋人がいる人、もしくは好きな人がいる人をやっかんでいるわけじゃないって、そう言い張ってた。それを言えば言うほど、そうなんじゃないかって空気になってたけど」
「サリは、だれか好きな人っていないのかな?」
「さあね。私は言えない」
「え、いるの?」
「美優ちゃんが一度聞いたらしいけどね。ああ、それから、美優ちゃんね、サリとか高校の友達にまでお金を借りていたらしいから」
「え、そこまで?」
「だって、バイト代だけじゃ無理だったみたいだよ。時計だけじゃなくて、整形もしてるからね」
「そうだったね」
「良かったね」
「なにが?」
「サリと美優ちゃんじゃなくて、由香が。学校では絶対に言えないから、今、言っておくね」
「ありがと」としか言えなかった。

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