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「ねえ、どう思ってるのよ」とにらまれて、花咲君がちらっと千花ちゃんを見た後、答えなくて、
「聞いているでしょ」煮え切らない態度に千花ちゃんは怒っていた。
「次の講義までに話す話題としてはふさわしくないと思うけれど」と淡々と答えていた。前の講義が早めに終わったために、人数がそろっていなくて、千花ちゃんと花咲君だけが先に教室にいたけれど、ちらほらと座っている人たちもいて、
「いいじゃない、人も少ないし。気になるのよ。何度聞いても答えてくれないじゃない。おまけに電話にも出てくれないし、メールだってすぐに返してくれないし」千花ちゃんの不満をそのまま聞き流して返事もしない花咲君を不満そうに、
「面白くないわ。せっかく、前の講義が早く終わったし、ちょうどいい機会だから話してよ」と千花ちゃんは食って掛かるように見ていた。
「その話題は学校で話すのは良くないと思えるけれど」
「どこで話せばいいっていうのよ。付き合いが悪いあなたが悪いんでしょ」
「僕にしろ、ほかのやつらもバイトをしていたり、付き合いもあるのだから、しょうがないだろう」
「そうやって、夏休みだって、全然連絡をくれなくて会ってくれなくて、それなのに段君たちとは会っていたようじゃない」
「前からの約束をしていただけ」
「大橋さんもいたんじゃないの?」とにらみつけるような態度だったので、
「君の態度は相変わらずだね」
「いいじゃない。どうしても気に入らないんだもの。あの子を見ていると腹が立ってしょうがないのよ」
「個人的主観をこの場で強く主張されても困るよ。誰が好きという肯定的意見なら聞けるけれど、誰かを嫌いだという否定的主張は君個人の問題だ。愚痴を言いたいのなら、ほかの女性としたらいいと思うけれど」
「相変わらずねえ、そうやって取り合ってくれない。あの子となら、こういう話題をするんじゃないの?」
「しない。彼女たちはそんなことを男子学生と言いあわないよ。『そう思わない?』と意見を聞いてくるときはあるよ。同調してほしいという願いがこもった質問も多いけれど、誰かを否定したくて聞かれるのはさすがに同調しづらいから、そういう部分はみんなは控えている。君もそれに合わせるようにした方がいいよ。同調してくれる人はこのグループにはいないと思えるからね」
「ふん、そうかもしれないけれど、内心は思ってるわよ。私のことも気に入らなさそうにしているものね。彼女たち」と千花ちゃんが不満そうだった。
「やっと気づけるようになったようだね。いい進歩だ」
「どこがよ。やっかみのようなああいう目をされると不愉快だわ」
「そう? 僕には彼女たちの目はごく普通の反応に思えるよ。不愉快になるのは君の態度の方だ。好き嫌いを表に出しすぎている。小学生のようで目に余るよ」
「な、なによ。私は大人よ」千花ちゃんが強く主張したけれど、
「大人の女性だったら、その部分は気を付けた方がいいね。君はプライドを傷つけられると、こちらの意見を否定して、なかったことにしようとする傾向があるからと何度も注意しているけれど」
「分かってるわよ」面白くなさそうに千花ちゃんが言った。
「でも、できないんだからしょうがないじゃない」
「君の勝気さはある意味では必要なのかもしれない。でも、僕たちのグループへのぶつけ方は間違っていると思うけどね。そういう話し合いがしたいのなら、別の学校の」と花咲君が言いかけたら、
「わかったわよ。何度も聞いたわよ。私のこのままの性格で合わせてくれるような、価値観が似ている人を見つけた方が早いっていうんでしょ。何度も聞いたわ」
「それならいい。あとは君がどうするかが問題だ。同じことを繰り返しても、意味はないしね」
「相変わらずね。私、あなたと付き合いたいわ。そういう部分を直してほしいと思っているの」
「君は僕が好きなわけじゃないよ」
「違うわよ、私はあなたが好きだと思うわ。何度も自分の気持ちに確認していたもの。そばにいながら、あなたに惹かれている自分に戸惑って、でも、好きだから見ているのだと」
「そういう部分があるのかどうかは分からない。でもね、君が僕に惹かれているというのは違うと思う」
「どこがよ」
「君にとって、アドバイスをしたからだと思う」
「それは、そうかもしれないけれど」
「君にとって必要だからそばにいてほしい。そういう気持ちだと僕には思えるよ」
「え?」
「何度かそう言っていただろう? そばにいてほしいと。寂しさもあるのかもしれないけれど、僕に自分の性格の嫌な部分を直してほしいと依頼する。それは恋人に依頼するのは困るんじゃないかな?」と聞かれて千花ちゃんが戸惑っていた。
「恋愛感情の部分が少ないと思う。恋人に依頼はしないだろうしね。友達だったらありえるとは思うけど」
「どういう意味?」

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