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 最初のシーンから、いくつか笑い声が合ったり、小声で何か言い合っているのが聞こえたけれど、九条君が座っているところが映し出されたら、静かになった。そのうち、エミリが出てきて、
「あ、エミリだ」という声がしたけれど、
「し、静かに」とエミリが止めていて、ちょっと笑われていた。
「大画面だと違う」と思わず言った。家で見たときはテレビだったので、そこまでの大きさじゃなかったけれど、今は画面が大きいために、写っている人物も大きくて、
「うーん、確かにこれだと、顔のいい人を配役したほうがいいね、私、大丈夫かな」と小声で言ったら、
「静かにしてろ」と九条君に注意を受けた。大学の備え付けのプロジェクターに映し出されている。沢登のほうが設備が新しいために綺麗だった。
 シーンが流れていて、下に字幕が出ていた。家で何度か見ているので次に何が出てくるかは知っているけれど、ほかの人たちは知らないので、シーンが変わるたびにうるさくなったり、声が聞こえていた。

「大橋って、違うな」と段君が言ったら、
「あ、俺もそう思った」と上久保君が言って、
「画面で見ると違う」と段君が驚いていた。花咲君は黙っていたけれど、じっと見ていて、
「分かりやすいね」と花咲君がそう言ったために、何人かがうなずいた。
「普段の大橋よりかわいく見える」上久保君がそう言ったら、
「違う。あれはライトのおかげだ」とサリちゃんが言ったために、
「もう」と海里ちゃんが呆れていたけれど、シーンが進んで、
「げ、なんで? 手までつなぐのか」とみんなが驚いていて、やがて、
「えー、草刈がほっぺにキスしてるじゃないか」と言ったら、
「してない。しているように見せているだけだって」とエミリが小声で近くの人たちに教えていた。
 やがて、ゆっくりと九条君が抱きしめるシーンが出てきて、
「あれ?」と驚いた。
「変えたな」と九条君も気づいたようなのでうなずいた。
 抱きしめた後も長めになっていた。その後、彼が一人のシーンが続いた。その後、エミリが出てきて、画面にアップになり、
「迫力」とみんなが言って、
「すごいな」と言い合っていた。エミリは笑ったり怒ったり、九条君を叩いたりしていた。さっきまでは九条君が昔の彼女を思い出しているという回想シーンで登場だったけれど、そこは実際にエミリに会って話をしている場面で、でも、九条君とエミリはほとんど一緒に映っていない。お互いに別々に撮ったのだろうかという感じになっていた。
「ここも変えてきたな」と九条君が言ったけれど、私はこっちの方が見やすかったので、
「エミリって大きな画面にアップになっても大丈夫だね」と言ったら、
「そうか?」と九条君が不満そうだった。彼は画面を見ながら、
「俺はお前の方が、見やすいな」と言われて、どういう意味だろうと思ったけれど、画面を見続けていた。

「なんとなくわかったな」と仲島君、蓮池君たちが言ったら、
「え、なにが?」と女の子たちが聞き返した。
 その後、公園のシーンになり、
「これって、クレナデだろ」「へえ、ここでも撮ったんだね」「でもさ、誰もいないね」「暗いからだろ」と言い合っていて、
「大橋って、意外だ」と仲島君が言ったために、
「え、なんで?」と聞き返した。
「草刈より目立つ」と言ったために、
「え、エミリの方がかわいいじゃない」
「撮り方の問題よ。絶対よ」とサリちゃんが言い張って、
「やっかむなよ。もう」とみんなが呆れていた。

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