Top Page About My Shop Catalog Buy Now Contact Us

Catalog
リストマーク  前へ 次へ

 美優ちゃんとサリは今日こそ、捕まえると張り切っていた。
「やめておいた方が」と言い出す子がいたけれど、
「だって、間に合わなくて、ダメだったから。休講があるから、今日は絶対に捕まえる」とサリが張り切っていた。
「あまり問い詰めると逆効果になるよ」と海里ちゃんが言ったけれど、
「いーえ、女の敵は許せない。どれだけの男か見極めてやるわ」と張り切っていた。

 サリが頑張ると言っていたけれど、「がんばって」とも言えず見送ってから、
「憧れの男性が彼女がいたと分かってしまって、それを別の形で晴らそうとしてるようにしか思えないなあ」と海里ちゃんが困っていた。
「え、あの、陸上の?」
「何度か遊びに行ったみたい。差し入れも届けて、頑張ったようだけれど、彼女の存在を知ってかなり怒ってた。『初めから言ってよ』と。彼女も体育会系だったらしい」
「なるほど」
「そういうカップルもいるからね。会話するより、一緒に走ったり体を動かしたり、それで満足する」
「デートは?」
「デートがそれよ」
「なるほど」
「そういう人が好きなのなら、サリには難しいと思うからねえ」
「そう、残念だ」
「違う人をすぐに見つけるわよ。騒がれている人、注目されている人が好きみたいだから。身近にはいないと言っていたし」
「そう」
「難しいと思うけどね」
「どうして?」
「そういう人だとライバルが多い」
「なるほど」
「九条君とはどう?」
「どうと言われても、ケンカする数は多いよ。あいかわらずだよ。電話はしてくれるけれど」
「あら、なら、大丈夫じゃない。話したいと思っているのだから」
「え、そうかな? 用事がないとかけてこないけど」
「いいんじゃないの? 自分たちに合ったペースでいけば」
「海里ちゃんはデートは?」
「ああ、ごめん。私の彼、沖縄にいるの」
「お、きなわ?」
「そう。九州の大学に行ってるんだけれど、海が好きでね。暇があったら、沖縄に行ってる。バイトも同じ」
「はあ、そうなんだ。それだと寂しくないの?」
「信用してるから」
「女の子と出会いは多そうだよ」
「魚の写真を撮るのが好きなのよ。そういう人なの。女性に対してはそこまでの興味はないわ。だから、大丈夫」
「信用してるんだ」
「お互いに会話をして楽しいしね。大丈夫」
「うらやましい」
「そのうち、そういう感じになると思うわよ。お互いのことを知れば」
「無理かもしれないなあ。彼は分かりにくい人だから、すぐに怒るし」
「不機嫌になるのも、由香ちゃんと話していくうちの変わっていくかもよ」
「そう?」
「犬童さんと同じよ。あそこも表情は少し柔らかくなったしね」そうかなあ? 相変わらず、花咲君は淡々とした感じで扱っている。一応友達に昇格した。そんな感じなのかもしれない。千花ちゃんの気持ちは通じそうもないかもしれないなあ。
「難しいね。男女って。相川はミイさんと付き合えば、まとまると言うのに」
「無理かもね」意外なことを言ったので驚いた。
「どうして?」
「だって、まとまるのなら、もっと前にまとまっていると思うわ。自分の彼女だったら、あのバイトはさせないわよ。相川なら」そうかもしれないなあ。
「そういうバイトを止めないってところからして無理よ」
「知らないとか言わないよね?」
「いくらなんでも気づくでしょ。かなりの金額になってるはずだもの。プレゼントの額が」
「そうなの?」
「気づかないなら、相当鈍感よ」と言い切られて、でも、あの相川なら、知らないってこともあり得るかもしれないなと思えた。

 前へ 次へ

ライン

inserted by FC2 system