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 門を見てびっくりした。
「すごい豪華」と言ってしまった。門は空いていて、彼は一度車から降りて、インターホンを押して何か話した後、
「入っていいってさ」と言いながら戻ってきた。車で門をくぐったら、何台か車が止まっていた。
「中も広いね」
「金持ちだからだろ。どこに止めたらいいんだ?」と言いながら、駐車していた。
 車から降りて、
「緊張してきた」と言ったら、
「別にいいだろ。内輪のパーティーなんだしね」
「内輪ってね。あなたと感覚が違う。内輪のパーティーと言うものが、そもそも普通の家庭には無いの。ホームパーティーなんてどこの家庭でしているのを見たことがあるのよ」
「そうか? 小学生の時にそういうパーティーは開いていた奴もいたぞ。男だったから、面白くもなんともなかったけれど」感覚が違いすぎる。私立って、全然違うかも。
「パーティーじゃなくてね、宴会はするよ。その違いは大きいと思うなあ」
「ふーん」
「ふーん、じゃなくて」と言いながら、玄関に行った。ドアを開けてくれて、
「誰もいないな。勝手に入ってもよさそうだ」と九条君が言ったけれど、男性が来て、
「ああ、久しぶり」と言いながら手を挙げていた。

部屋に入って、彼のそばにいたけれど、紹介してくれるわけでもなくて、ただ、突っ立っていたら、
「あら、来てくれたんだ?」と美弥さんが寄ってきた。あまりにかわいらしい感じで気おくれしてしまった。シックな黒のレースのドレスで、かわいらしくもあり、品もあった。値段が違いそうだ。かたや貸衣装、かたやお嬢様。この違いは大きい。
「今日は楽しんでくださいね」と言われて、
「お招きいただきありがとうございました」
「緊張しているの?」と微笑んでくれて、やはり、かわいらしくてきれいな人だな……とつくづく思った。
「婚約者は?」
「奥よ。あの人、人前は苦手なの」
「大丈夫か、それで?」と九条君が失礼なことを言ったので、
「ちょっと」と慌てて止めた。
「いいの、慣れているから。隆司くんももう少し言い方を工夫しないと嫌われちゃうわよ」と注意されていた。
「別にいいだろ、これぐらい」
「だめよ。今日は由香さんと一緒なんだもの。ちゃんと気を使って、エスコートしてあげてね。料理やジュースなどは隆司くんが取ってあげないと駄目だからね」と言われて、そちらを見た。お皿にいくつか料理が載っている。立食形式のパーティーのようで、戸惑った。
「分かったよ。やればいいんだろ」
「もう。中学生のころから変わらないんだから。もう少し大人にならないと」と注意されていた。美弥さんが行ってしまってから、
「完全に子供扱いじゃない」
「うるさい」
「それでは彼女にはできそうもないね」
「うるさい。それは昔のことだ」
「ひょっとして、中学の時と対応が変わってないとか言わないでよ」
「しょうがないだろ。これで来たんだから」
「女の子がそばにいない環境って、結構怖いかも」
「なんで?」と気に入らなさそうだった。

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