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「俺が女性の話をするのは初めてだと、美弥が驚いていた」
「彼女ぐらいはいたでしょう?」
「聞かれても教えないよ。うるさいから」
「そういうものなんだ」
「話すことなんてないし」
「憧れが強いのかもしれないね。その憧れの存在が、あの人と」とまた、演奏を始めたのでそちらを見た。
「俺は認められないな、一生」
「やはり、シスコンだね。それは困るなあ」
「なんでだよ」
「自分で考えて」
「考えろと言われてもね」ふと気になったので、
「あのね」
「なんだよ?」
「今日は何点?」
「なにが?」
「私の点数」九条君がじっと見て、
「60かな」と言ったので、
「辛口評価だな」とあきれてしまった。
「普段は何点なのよ?」
「50点だろ」
「平均レベルって訳だ。つくづく辛口。あなたは何点よ」と聞いたら、
「70ぐらい」とすぐに答えが出てきて、面白くなかった。
「その20の差が面白くない」
「別にいいだろ。それは」
「その差が態度に出てるんだろうね。美弥さんは?」
「99」呆れて横を向いた。
「なんだよ?」
「無神経だよね。他人の恋人は高評価、自分の恋人は低評価」
「低くはないだろう。平均点なのだから」
「恋するとそこが高くなるはずだと言うのに、友達レベルじゃない」
「お前はさ、まだまだだってさ」
「なにが?」
「俺たちの周りの評価」
「あっそ」
「続きを聞けよ。まだまだって言うのは、まだこれから頑張れば良くなるってことだ。草刈と同じだ。草刈もまだまだだって。お前たちは、まだ、そのレベル。もう少し頑張ればいいってことだ」
「その上から目線な発言が嫌だなあ。それだけの物を持っている人たちなの?」
「俺がいつも一緒にいる奴らだよ」
「甲羅は私の中で平均以下だから無理なんだけれど」
「怒られるぞ」
「そっちが先に言ったんでしょ。言っておくけれど、容姿、家柄以外のレベルは平均でしかないからね、あなたたち。というか、多分、平均以下にされるかもね。今の発言を加えると」
「え、なんで?」
「だって、女の人に対しての思いやりがないもの。そこがないと、たとえお金持ちだとしても、たとえ、容姿が良くても減点されやすいの。冷たい人は嫌われるよ」そう言ったら、黙ってしまった。
「ごめん、言いすぎた」
「違う。お前の言う通りなんだろうな。俺たちにそういうことは耳に入らなかったのは、言う人が少なかっただけ。内心は思っていたってことだろう? 甲羅に対する、ほかの女子学生たちの態度もお前と変わらなくなってきた。甲羅は気づいてないよ。あいつは懲りないからね。でも、ほかのやつらはさすがに言うのをやめた。評判が悪くなったことを知って、やめてきたよ」
「そのほうがいいと思うよ」
「あいつらがショックを受けてた」
「え?」
「お前たちに甲羅や相川と同じ目線で見られていることに対して、気づいてなかったみたいで」
「なんのこと?」
「学食で、お前たちの目線が冷たかったって。そのあとから、女子学生たちの目線を明らかに気にしていた。自分たちに対して憧れを持っているものだとばかり思っていたのに、事実が違うようだから」
「憧れ?」と驚いたら、
「持ってなかったのか?」と聞かれてうなずいた。

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