Top Page About My Shop Catalog Buy Now Contact Us

Catalog
リストマーク  前へ 次へ

「そういうことだから」電話を切った後、
「なんだって?」と九条君に聞かれて、
「美優ちゃんも大変そう」
「ふーん、相手の男に逃げられたのか?」
「いや、捕まったのは阿木君のほうだろうね」
「捕まった?」
「カモにしたつもりで、カモにされそうだなあ」
「なんだよ、それ?」
「女の人を敵に回したら怖いってこと」
「それはあるかもな。相川も甲羅もこれからは、ひそひそ言われる側に回りそうだ」
「え?」
「あの学校も大変そうだ、これからも」
「楽しそうでいいじゃない」
「あいつらなら、何かと話題を提供してくれるかもな。女が多いと噂話が多くなりそうだ」
「いいんじゃないの? すぐに違う話題に移るだろうから。そうして、すぐに忘れる」
「女が多い環境に戸惑っているよ。なんだか異次元の世界だ」
「そうかなあ? そうでもないと思うけどなあ」
「男のほうが気楽だ」
「そう? 女が多くても、それなりに楽しめるでしょ。席替えの楽しさを味わえるよ」
「想像していたころが懐かしいよ。想像の産物だったときのほうが良かった。身近だと別のことが見える。見えすぎて怖いこともある」
「なるほどねえ。私はそうでもないんだけれどねえ」
「そう思っている奴らも多いかもな。高校の時と話題はそうは変わらないが、俺たちの評価が全然違ってしまっているからなあ」花咲君が言った、主流派、多数派って、こういうことなのかもしれないなと思えた。

 前へ 次へ

ライン

inserted by FC2 system