Top Page About My Shop Catalog Buy Now Contact Us

Catalog
リストマーク  前へ 次へ

「えっと……」としか言えなくて、
「別にいいけどね、俺には関係ないし」
「なんだか冷たい言い方だね」
「事実だろ。関係ないんだから」
「私とも関係ないと言いたげだ」
「そんなことは言ってないだろ」とちょっと声が大きかったので、はぐらかすように、
「段君たちが来てくれるって」と言ったら、
「花咲は? 当然、来るわけだ」と気に入らなさそうだったので、
「あのね、何度も言ってるけれど、彼とは何もないよ。だいたい、今は千花ちゃんといつもいるし」
「面白くなさそうだな」
「意見が聞けなくなって不満なだけ。テストの時とか、色々あったしね」本当に色々あった。夏休みには会わなかったけれど、テストになり、みんなと一緒にやったりしたときに彼女が何かと口をだし、指図したがり、仕切りたがって、そのうち、彼女がいると逃げ出す人もいたりして、花咲君以外は近くに座りたがらなくなり……、そんなことを思い出していたら、九条君が顔を見てきて、
「疲れたからその話題はいいよ」とため息をついた。
「あいつらは進展はしないだろうけど」と言ったので、
「何度もそう言うんだね」と彼の顔を見た。デートをしているとき、つい、その話題が出て、千花ちゃんは花咲君が好きじゃないかとエミリが言っていたので、それを出したら、九条君は、
「あいつらはくっつかないぞ、絶対に」と断言していた。
「エミリはくっつくかもしれないと言ってたけれど」
「無理だよ。花咲だって、同じだろうな。『彼女にしたい』とは思ってないだろうな」
「そういうものなの? あれだけ話しているのに」千花ちゃんは花咲君のそばにいつもいるようになっていた。
「無理。友達として無理して合わせてやっているレベル。彼女としてそばにいてほしいとは思わないだろうな」さすがの九条君も声が小さかった。そばには誰もいなかったけれど、さすがに聞かれるとまずい。
「そうなのかな、よく分からない。彼がどういう人と付き合ってきたかとか、知らないし。そういえば、どの子が好きなのかは聞いてないなあ」
「聞かなくてもいいだろ、そんなの」と面白くなさそうで、
「そう? 気にはなるよ。ああいう人はどういう人を好きになるんだろう? 恋愛対象は幅が広そうでうらやましいな」
「幅狭いかもよ」
「あなたとは違うよ」
「悪かったな」
「だって、あなた。今もどこか差別的態度が残ってる。今もかわいい子以外は対象外でしょう?」
「それは誤解だ。別に顔で差別しないぞ、俺は」
「そうかな? 相川にしろ、甲羅たちにしろ、私たちなんて眼中にないでしょ」
「眼中ね。お前、八束に注意したほうがいいんじゃないか」とまた言ったので、ため息をつきながら、
「言ったでしょ。美優ちゃんのことは話題にしないでよ」とにらんだ。美優ちゃんは夏休みの間に、目を整形していた。ただ、問題はもう一人同じように見た目が変わってしまった人がいるので、その話題はしづらい雰囲気だった。美優ちゃんはおおっぴらに変えることを宣言していたため、周りの子は「きれいになったね」「良かったね」とほめていたけれど、もう一人の子がそばにいるといけないから小声でしか話せない。九条君も、
「整形してまで」と小声で言ってから、
「変わる必要はないと思えるけど」とこっちは普通の大きさの声で話し出して、
「あのね。気にしてるの。大変身したかったの。そのためにバイトして頑張って」
「俺には分からないよ。ああいうのは」
「でも、実際ね。就職するときに気になるから、今のうちからやっておきたかったみたいだよ。サリからそう聞いてるから、言わないでね」
「俺には分からないな。相川の女といい、八束といい、なぜ、そこまで無理をするのか」
「あのね。気になってるからだと」
「気になってるからって、無理しすぎだ。相川にますます相手にされなくなるだろうな、あれだと」と言ったので驚いた。そう、もう一人、顔が変わってしまった人。相川の自称彼女。ミイこと、川出未知。彼女はその話題をするとにらむらしい。何人かがそう言っていた。
「よく分からないよ」としか言えなかったら、
「と、甲羅が言っていた」
「そう」
「ライバル視している相手が悪いってさ」
「ライバル視?」
「草刈では勝ち目はないかもな」
「あれ、意外な言葉」
「これも甲羅がそう言っていた」
「そう、元の彼女の肩を持つんだね、やっぱり」
「よりを戻そうとしてるようだぞ」
「ふーん」エミリは相手にもしてなかった。
「草刈はあいつとだけは付き合わないだろうから、張り合う必要はないと思えるけどな」ライデ(ライフデザイン学科)のほとんどの子はそう思っているだろうけれど、相川とミイさんとそのお友達は納得していなさそうだった。

 前へ 次へ

ライン

inserted by FC2 system