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 家に戻ってから、どうしようか迷っていた。彼に電話を掛けようかと思っていたら、意外にも花咲君から電話があり、
「なに?」と聞いたら、
「八束のことでほかに心配なことがあるんだろ?」と言われて、
「ごめん、言おうかどうか迷って、でも、段君が心配するといけないから、あの場では言えなくて」
「それで?」と聞かれて説明した。高価な時計を渡したことやライバルがいるために、必死になりすぎていて、焦っているように見えると。
「ホスト……。クラブに通う女性と同じ心理かもしれないな」と言われて驚いた。
「どこが?」
「うーん、姉に、ああいう場所に通う人の心理を聞いたことがあるよ。疑似恋愛を楽しむところだと思っていたけれど、それ以外にも楽しく盛り上がりたいだけとか、好みの男と会話を楽しみたいとか、男に優しくされたいとか言ってたよ。ただね、お金を使う場所でもあるから」
「確かにお金はかかりそうだね」
「それで、張り合うらしいんだ」
「張り合う?」
「そう。お気に入りのホストをお店のナンバーワンにするために、お店でお金を使う。他の女性と仲良くしていると負けず嫌いの女性だと絶対に負けたくないという心理が出てくる。そのために、プレゼントも高額なものを贈り、張り合う、そういうこともあるらしくて」
「ちょっと怖い」
「いや、まあ、姉から聞いた話だからね。確かに大橋にはそういうところはないからね」と笑われてしまった。
「そう言われても」と言いながら考えていて、
「え、ちょっと待って。だとしたら、相手の女性と張り合うために、高価な時計を渡したってことなの?」
「そういう可能性はあるよ。だから、無理をしてしまっているかもしれないね。でも、お金は学生だと続かないと思うから、大丈夫だとは思うけれど、相手が振り向いてくれると信じ込んでいるだろうし、負けたくないという心理が強すぎて、八束は向きになっている可能性もあるから、相手と張り合っている状態だと止めるのが難しいかもしれないな。一度冷静になってもらわないと」
「どうしようか」
「猿林にそれとなく、プレゼントのお金などはどうしているのか聞いてもらった方がいいかもしれないな」
「え、どうして?」
「無理している場合があるからね。友達に借りたり、親に借りたり」
「そこまでしないと思うよ」
「でも、一応確かめておいた方がいいね」
「とても段君の前では話せないよ」
「そうだね。今はそっとしておこう」
「千花ちゃんにも、あまりよけいなことを言わないようにしてもらいたいけれど」と言ったら笑い出した。
「どうして笑っているの?」
「みんなに言われたからだよ。注意してやれって。でも、本人には言えないようだから」
「そう」
「彼女は分かってないんだよ。言いたいことがあるなら言えばいいじゃないと言いながら、怒り出す。それなのに言わないほうが悪いって思ってる。忠告しても無駄になるだけだから、言わない。忠告を聞けない自分が悪いのではなく、言ってこないほうが悪いと考えてしまう」うーん。
「彼女、大丈夫なのかな?」

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