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「うるさいわねえ。高校時代のあだ名なんて、今も呼ばないでよ」と姉が怒っていた。
「すごいな」とみんなが驚いていたけれど、
「任せなさい。妹をいじめるような奴は、私が許さないからね」と言った後、九条君に気づいて、
「ああ、あなたね。うちの妹にちょっかいを出している奴は」と言っている間に、
「似てないね。女帝と違うね。かわいい」
「本当だ。かわいいね。全然違うね。紹介してくれても良かったのに」姉の知り合いの人に言われて、頭を下げた。
「うるさい、近づかないでよ。一緒に来ただけでしょ。ああ、こいつら、足代わりに連れてきたの」と姉が言って、
「ごめんね、さっき」と謝った。
「あいつの話は散々聞いていたからね。すっとしたわ」と姉が言ったために、みんなが笑っていた。
 姉が九条君にいくつか質問をし始めた。私に聞けばいいことなのに、姉はわざわざ彼に聞いていて、
「お姉ちゃん」と止めた。
「気が済むまでやらせてあげたら。儀式だと思うよ」とそばの人に言われて、
「え?」と驚いた。二人が笑っていて、
「俺も嫌かもなあ。妹に彼氏ができたら、一通り聞かないと気が済まない。確認したいわけじゃなくて、なんていうかさ、そういうのを通して相手の人となりを 見ておきたいって言うか、くぎをさしておきたいというか」と教えてくれて、日ごろの姉の態度を知っているので、心配しているとは思えなかったけれど、九条 君は意外にも、
「映画の撮影中に仲良くなりました」とか、
「いえ、喧嘩はしましたが、彼女とは話し合いが大事だと思うので」と言い合っていたら、
「次の回が始まりますので、鑑賞後のお客様は退場くださるようにお願いします」とシオンさんのアナウンスがあって、
「ああ、邪魔ね。行きましょう」と姉に促されて外に出た。
「とにかく、私はまだ、認めたわけじゃないからね」と姉が九条君にくぎを刺した後、
「さ、行こう。気が済んだし」と姉が言って、
「男っぽいよな、お前」
「『女帝』ってあだ名、当たってるよ」と一緒に来た人に笑われていた。


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