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「優雅な世界かな?」
「由香はそういう経験は?」
「ゼロ」
「同じだ。いいなあ、そういうのも行きたいな。よし、今度は年上のお金持ちの男性を探そう」
「前向きだ。彼氏候補はどうしたの?」
「んー、何度かデートはしてみた」
「うらやましい」
「全部だめだったんだよ」
「そうなんだ。難しいね」
「会話が楽しい人がいいの。それで明るくて優しくて、余裕がある人。失礼な人は駄目だし、面白くないとだめだし、気が利かないとそれも困るしねえ」
「選べるだけうらやましいよ。私は告白してもらったこともないからねえ」
「してもらったようなものじゃない。高校時代の彼。向こうも由香に気があったんだから」
「そう言われても、会話が続かなかった」
「いいじゃないの。駄目になったら、花咲君がいるんだし」
「失礼だよ。彼に悪いよ。そんな言い方をしたら」
「でも、そう思えるよ。九条だと苦労するよ。花咲君だと別れるとかケンカとかなさそうだよ」
「それはそうなんだけど」
「それでも、どうしても九条なんだ。大変そうだけどなあ」
「彼、いいところもいっぱいあるの。ただ、それを素直に出せないタイプで、私が気付いてない部分がいくらでもあるんだと思う」
「ふーん、好きなんだ、やっぱり」
「どうしても、彼を見てしまう」
「のろけだ」
「もう、エミリはいないの、そういう人」
「いない。そういうのはねえ。甲羅は駄目だし、これは良いかもと思って幻滅したりが多いね」
「声を掛けられる回数が多いから選べるんだものね。サリが聞いたら怒りそうだ」
「サリもあきれるよね。由香に先を越されたってうるさい。自分と同レベルだと思い込んでるからねえ」
「実際、似たようなものじゃない」
「違うと思うけど」
「え、なんで?」
「由香のほうが声をかけやすいみたいだよ。上久保達も言ってたし、ほかの学生も言ってたから。九条君と付き合っているのを不思議がるのは女子学生が多いよ。男子学生は、あまり言ってない」
「え、でも、仲島君たちは花咲君と付き合えとうるさくて」
「からかってるだけだって。それに実際に付き合ってほしかったみたい」
「なんで?」
「お似合いだからでしょ」
「千花ちゃんとくっつけたくないからじゃないの?」
「それだけじゃないんじゃないの。実際に由香と花咲君ってベストカップルって感じだよ」
「何、それ。恥ずかしいなあ」
「でも、お似合いなんだよ。二人が話してると友達ではなくて、恋人に見えるんだよね」
「え、なんでだろ? 花咲君はほかの女の子とも良く話して」
「違うんだよね。雰囲気が」
「え、そう?」
「私や美優ちゃん、サリとは雰囲気が違う。二人がそばにいるのはとても自然体で、付き合ってるってみんなが錯覚しちゃう感じかな。だから、九条が面白くないみたいだよ」
「え?」と驚いた。
「あれ、気づいてなかったの? 九条は由香が花咲君と話すと、思いっきり気に入らない顔をして見てるよ」
「そうなんだ」気づかなかった。
「あいつ、由香に気があるくせに、素直じゃないね」
「気があるのかな?」
「何、不安なの?」
「はっきり好きだって言われたわけじゃないんだよね。そういう感じみたいなことは言われたんだけど」
「あれは言わないでしょ。そういうタイプ。好きだって言わない男もいるよ。素直じゃないんでしょ。その言葉を待ってたら、何年かかるか、分からないよ」
「え、そうなの?」
「そう言うタイプでしょ。プライドが高そうだし」そうなのか。
「分かりにくいんだ。困った」
「これなんかどう?」と、服をあてがわれた。
「かわいすぎるでしょ」
「そう? 由香に似合うよ。じゃあ、こっちは?」エミリはすごくかわいすぎるフリルがいっぱいついた服をあてがって来て、
「あのー、ステージに立つわけじゃないよ」
「つい、見栄えがするものを選んじゃうんだよね」
「主役は九条君のいとこなんだからね」
「でもねえ、やっぱり目立つものを」
「エミリは主役のほうが向いてるね。今度の映画では頑張ってね」
「うん、がんばるって」と張り切っていた。

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