Top Page About My Shop Catalog Buy Now Contact Us

Catalog
リストマーク  前へ 次へ

 私たちが話しているのを見て、
「浮気だ。さっそく浮気してるよ、九条ちゃん」甲羅がそう言ったために、そこにいた人たちが笑った。九条君は面白くなさそうにしていて、
「ほっといていいの? あれは危ないよ」
「うるさい」
「これだからなあ。わかりにくい。いつから付き合ってるかも内緒にしてくれちゃって」甲羅が言ったけれど、九条君が答えてなくて、
「お、佐並だ」とみんなが言ったら、佐並君が別の男子学生と一緒にいた。
「あいつ、まじめそうな男と一緒にいるんだな」
「あいつさ。親に怒られたらしいよ」
「へえ、あいつ、完璧ぶってるだろ」
「親ぐらいなら怒られるだろう」
「想像がつかないな」
「救急車がどうのと言っていた」
「やめろよ、それぐらいで」と九条君が止めた。
「あいつと付き合うと気難しいからな。言わないほうがいいかもよ」
「付き合いづらい奴だよな。親に怒られたって、直せそうもないだろう。だから、医学部も落ちたらしいし」
「言い過ぎだ」と九条君が止めた。
「ま、いいじゃん」と甲羅が流そうとした。
「甲羅、今度は美人を集めて合コンしようぜ」と提案している人がいて、
「九条ちゃんも来るでしょ?」と甲羅が誘った。
「パス」と断っていた。
「やだなあ。彼女がいても、それぐらいは浮気に入らないって。向こうもしてるし」九条君が甲羅から目を背けて、私たちを見た。
「花咲って、不思議だよな。あいつ、意外と女に人気があるらしいぞ」と言い出した人がいて、
「へえ、なんでだろ?」甲羅が言ったので、
「お前だけは、ずっとわからないままかもな」と九条君があきれていた。
「大橋ちゃんも恋しちゃって、綺麗にはなってきたね」と甲羅がごまかすように言い出して、
「まだ発展途上だろ」
「うーん、まだまだ。でも、かわいくはなってきたな。九条とは釣り合ってないけれど」と言われて九条君が仏頂面になった。
「お前、なんとか言えよ」
「お前たちには言われたくない」
「お、怒ってる。やはり好きなんだ?」と甲羅がからかったけれど、
「ま、草刈は合格点をやれるけどさあ、あとのやつらは駄目だな。大橋がぎりぎり及第点。まだ、頑張ってほしいな」
「残りは?」
「整形はパス。与田は女に見えない。残りは対象外」
「あ、俺も同感。与田は友達どまり女だ」と言い合っていて、
「頼むから、学校では言わないでくれ」と九条君が止めた。
「なんで?」と甲羅が聞いたら、
「お前たちと付き合いたいと思ってくれる女子学生の数が減るから」と九条君が甲羅だけを見て言ったために、
「ありえる」とみんなが笑っていて、
「笑い事じゃなくて、こうやって言っているのもばれてるぞ」と九条君が教えたら、
「え?」とみんなが顔を見回した。
「お前が大橋に話しちゃったからか?」と九条君が聞かれて、
「あいつがそんなことを言い触らすわけがないだろう。あいつはグループに交じると自分から発言するより聞き役に回るタイプ。それで俺たちの悪い評判を聞いてしまったみたいだから、俺が注意を受けただけ」
「俺、やめる」と甲羅が慌てて言った。
「困ったよなあ。俺もさあ、実は別の子に似たようなことを言われてさ」
「女ってそういう部分が意外と気になるんだな。俺たちのように条件が双葉女子や公立女子より上でもだめらしい」
「えー、そうなのか? 俺、いい線いくと思ったんだけれどなあ」と甲羅が言いだしたら、
「お前はその口でどんどん対象から外されていくかもしれないな。草刈だけじゃなくてね」九条君が言ったために、
「え、なんだよ、それ。九条ちゃん、教えてよ。大橋ちゃん、何を聞いてきたの?」
「女たちに聞けよ。直接ね。お前の人気は入学当時が一番高かったそうだから。今は急降下して、かなり下かもな」
「え、聞いてくる」と甲羅が慌てていて、
「あいつ、気づいてなかったのか。俺はかなり前から知っていたぞ」と言い出す人がいて、
「そういうお前も女たちに駄目だしされてたぞ」
「え、馬鹿な。そんなはずは」
「気づいてなかったのは俺だけじゃないんだな」と九条君があきれて見ていた。

 前へ 次へ

ライン

inserted by FC2 system