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映画みたいな恋?


 美弥さんに挨拶をして、
「良かった。二人で来てくれて。もう、怒らせたら駄目だからね」美弥さんに怒られて、
「俺のせいなのか?」と九条君が嫌そうだった。
「どちらかというとそうでしょう」
「こいつが悪いんだろ」
「違うでしょ。あなたは不機嫌さを隠そうともしないから。それだとこれから困るよ」
「分かってるよ」美弥さんが笑ったので、
「すみません」と謝った。
「違うの。隆司くんのそんな姿を見るのが嬉しくて、由香さんがいたから、映画も続けられたんだなと思えたから」
「え?」
「前の隆司くんだったら、そもそも引き受けたりしなかった。それに面白くないことがあったら、きっと途中で降りていたと思う。でも、そうやって二人でケンカしながらも本音を言い合えるのはいいわね」と言われてしまった。思わず九条君を見たら、
「こいつだと、なぜか余計なことまで口にしてしまうんだ」そう言われて、そう言えば、そうだったかもしれないなと思った。私もなぜかこの人に変なことまで話している気がする。花咲君よりもこいつに話しているのが多いのかもしれない。不思議だな。ケンカする相性なのにと思いながら見ていたら、
「なんだよ?」と気に入らなさそうで、
「もう、素直じゃないんだから。由香さんに会えない時にね、拗ねて、さみしそうだったから」と美弥さんが教えてくれて、
「違う」と否定していた。映画の時も似たようなことを言っていた人がいたなあ。
「あなたはどうして、素直に口に出せないんだろうね、分かりにくい」
「うるさい」
「もう」
「喧嘩しないでね」と美弥さんに止められた。そうしていたら、婚約者の人が来て、
「俊夫さん、ネクタイが曲がっているわ」と蝶ネクタイを直してあげていた。その姿は年が離れているとはとても見えなかった。
「え、そうかな、ごめんね」と言いながら、屈託なく笑っていて、
「演奏する時以外は抜けているのよ」と美弥さんが嬉しそうにしていた。

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