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 エミリと二人で話をしていた。
「美優ちゃんに教えた方がいいかな?」
「サリには?」と聞かれて首を振った。美優ちゃんはサリと割と仲良くしているからだ。
「でもねえ、まだ、噂の段階でしょ」相手の男性は複数の女性と同時に付き合っている。そう噂が流れている。しかも、気に入らない相手だと電話にすら出ない。着信拒否も多いらしい。目撃情報もいくつかあるらしい。女の子が学校まで来てしまっているためらしい。
「そこまで目立つ人ではないらしいの。背は低めで見た目は確かに俳優かと思われるぐらいらしいの」
「へえ、なるほどね」
「お金はさほど持ってないんじゃないかって」
「バイトをしてるんでしょ。ああいうところってバイト料がいいんじゃないの?」
「知らない。でも、森園君が聞いたところによると、彼が払うようなデートはしてないんじゃないかって」
「え、そうなの。完全に貢がせ体質ってことじゃない。女の子だと時々いるけど、男でもいるんだね」
「どう思う?」
「どう思うって、その話だけだと、話しても納得しないかもよ」そうだろうな。
「詳しく聞いてくれるって言ってたから」
「その方がいいね。久我山のつてなんて、私ないし」
「海里ちゃんは友達が多いみたいだから、聞いてみようかな」
「ああ、でも、彼女は」と言ったところで、
「あ、九条だ」と言われてそっちを見た。私と目が合った後、そっけない態度で行ってしまった。うーん、怒っているかもしれない。ひーちゃんと森園君と話したために、彼に電話をするのをすっかりと忘れて、その後、エミリにメールをして、エミリからのメールを待っている間に寝てしまい、彼には電話をしなかったので、かなり怒っているかもしれない。
「綸同君の方がいいかもよ。あれは愛想ないね」と言われてしまった。彼は一応、付き合っているつもりだったらしい。私は『その気はない』と思い込んでいた。でもなあ、彼の中で私って、そこまで重要視されている気がしない。それで、『付き合っている』と言われても、困るけどなあ。
「どうかしたの?」エミリに聞かれて、
「なんでもない」としか言えなかった。
「やっぱり気になるんだ、あいつが」
「そういうわけでもないけど」
「恩湯の彼の方がいいよ。とりあえず、そうしておきなよ。これを逃したら、二度と付き合えないかもよ。九条ならいつでも会えるけどね」
「そう言われても」九条君の方がこじれると二度と口をきいてくれなさそうに思えるけれど。
「私もさ、ちょっと慎重になってきた。相手が優しそうで愛想が良くてもさあ、その先が……怖い」
「そう?」
「愛想がいい男って、女友達が多いのよ。だから、その中に隠れ本命がいる可能性もあるわけじゃない」
「ああ、なるほど」そういう心配もあるのか。
「大変だね。あいつの後だと、心配になるのは分かるけど」
「浮気されるのも嫌だしね。彼女がいっぱいいすぎるやつなんて、最低だしね」
「甲羅もいっぱいいそうだね」
「いるでしょ、あいつ。凱歌公園も何度か行ったみたいだよ。そう話していたみたいだから」
「え、そうなの?」
「そう言ってたみたい。あいつさ、隠してるつもりなんだろうけれど、ボロが出るのよ。おしゃべりだから、男に話して、そこから漏れる」
「なるほど」ありえるなあ。
「由香が髪形を変えたところに、本気モードが見える。私もがんばろう」
「あ、これは」ひーちゃんに言われたから、こうしたけれど、そう思われちゃうってことか。うーん。

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